5thライブが中止になったヒプノシスマイクファンを救ったのは手ぬぐいだった

新型コロナウイルス感染症の流行により、多くのイベントが中止を余儀なくされています。3月12日には「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle- 5th LIVE@サイタマ」の中止が発表されました。このイベントは音楽原作キャラクターラッププロジェクト「ヒプノシスマイク」のライブで、多くのファンが開催を心待ちにしていた大きなイベントでした。

「ヒプノシスマイク」は、ざっくり言うと「ディビジョン」と呼ばれる地域に別れて、ラップを唯一の武力として争うキャラクターたちを描いたコンテンツです。ラップとボイスドラマを収録したCDやコミック、そして今回中止になってしまったライブなど、多様な形で展開されています。特に今回のライブは「オオサカ」と「ナゴヤ」という新ディビジョンが登場することもあり、大きな期待を集めていました。

そのライブが、振替公演などもない完全な開催中止となってしまった。ファンのショックはさぞ大きいことと思います。実際のところ、Twitterなどでは悲痛な声が多数上がっていたのですが、その一方で「元気が出た」というような主旨のツイートをしている人もたくさんいました。

一体なぜでしょう? その答えは「手ぬぐい」にありました。

手ぬぐいは心遣いの証

発端は「ヒプノシスマイク」公式から出された、この公演中止の告知でした。粛々と、整然と今後の対応などについて書き連ねられていく中で、突如として謎のワードが登場します。

「ヒプノシスマイクオリジナルクロス(手ぬぐい)」

ヒプノシスマイク公式はなんとかライブを開催できることになった場合に備えて、飛沫感染防止のためのグッズを作っていたというのです。そしてそれを、チケットの購入者全員に配布すると告知したというわけです。

「オリジナルクロス」とおしゃれに言っておきながら(手ぬぐい)と正直に付け加えてしまう文面的な脱力感、そしてヒプノシスマイクの世界観と決して親和性が高いとは言えない手ぬぐいというワードそのものも含め、強烈なインパクトを与えました。

ヒプマイ中止に負けない勢いでトレンドとなる「手ぬぐい」。手ぬぐいもまさかラップライブの中止の余波で自分がトレンドに上がるなどとは思っても見なかったでしょう。

この対応については、ファンから多くの好意的な反応が上がっています。

単純に感染防止を意図するなら、別にマスクなどの配布でもいいはず。しかしそこであえてグッズとして楽しめるものを用意しようと考えたのは、ファンへの愛あってこそでしょう。そしていざ中止となってしまったらそれを配布する。温かく、素敵な対応だと思います。

もしかしたら中止になってしまうかもしれない。だからといって座して待つのではなく、無駄になってしまうかもしれないという不安を抱えながらも開催を信じてできることを精一杯やろうという真摯さ。「ヒプノシスマイク」というコンテンツに対する熱を感じさせるその姿勢は、ファンの共感を呼ぶに十分でした。

こういったライブは、チケットをとるのに大変な苦労を要します。ライブの中止は単に楽しみがなくなってしまうということに加え、そういった苦労が無駄になってしまうことも意味します。そんな中で、チケット購入者だけに送られるノベルティがあるということはライブに行くはずだったという証が手元に残るということで、そういう意味でもファンの救いにもなりました。

ライブの開催に向けての手ぬぐいの生産なんて、しなくてはいけないことかといえば決してそんなことはありません。しかしファンの気持ちと真摯に向き合った結果手ぬぐいを作るに至り、その温かさが、そして手ぬぐいそのものが、傷心のファンの慰めとなってより一層ファンとしてのロイヤルティを高めたのではないかと思います。

トレンドには「#ありがとうヒプマイ」というハッシュタグも上がり、これからも買い支えていくという決意表明も多数見られます。損得勘定をするような話ではありませんが、支払ったコスト以上の信頼を得たのではないでしょうか。

終わりに

これまで多くのイベントが中止になり、多くのファンが悲しんできました。今後もそれは続いていくことでしょう。その中で今回のヒプノシスマイクの手ぬぐいがもたらした温かさは、「ヒプノシスマイク」のファンのみならず、悲観的なムードそのものにとっても1つの明るい希望になったと言えると思います。