衰えぬ人気!夏の甲子園からマーケティング術を学ぶ!

8月の猛暑が続いている中、日本中を大いに盛り上げたのが「夏の甲子園」。毎年、お盆の期間に開催され注目を浴びる大会となっており、多くの感動やストーリーが生まれ人々を魅了しています。

夏の甲子園の正式名称は「全国高等学校野球選手権大会」で、毎年8月に開催されおり公益財団法人日本高等野球連盟(※以後、高野連と示す)と朝日新聞が主催し、入場者数や収支は朝日新聞が公表します。

※春にも全国大会が開催されます。春は「選抜高等学校野球大会」と名前が変わり、こちらは高野連と毎日新聞が主催します。毎年3月下旬~4月にかけて開催され、収支は毎日新聞が社告として掲載しています。

昨年の第100回大会ではメモリアルイヤーということもあり、入場者数が100万人を超えました。これは東京ドイツ村の年間の入場者数に匹敵します。

参照: 公益財団法人日本高等学校野球連盟 http://www.jhbf.or.jp/sensyuken/spectators/

「夏の甲子園」がここまで多くの人々の心を掴んでいる背景には、近年企業に注目されているストーリーマーケティングが関係しているからと言えるでしょう。

今回は「夏の甲子園」からストーリーマーケティング成功の秘訣を紐解いていきます。

様々な企業が注目!ストーリーマーケティングとは?

ストーリーマーケティングとは一般的にはストーリーを通してメッセージを届け、共感してもらいファンの行動を促すマーケティング手法を指します。

商品・サービスそのものを訴求するのではなく、その商品・サービスにかける思いや背景を顧客に伝えることで、疑似体験や共感が可能になるため、顧客の行動を促す効果があります。

夏の甲子園が多くの人々に注目されるのは、このストーリーマーケティングのキモである「共感」が作用していて、

「負けたら終わりの試合で1つ1つのプレーに全力で、大人になると忘れてしまいがちな一生懸命でどんな場面でもあきらめない姿」

に人々は共感しているのではないでしょうか。

では、実際に夏の甲子園で起きたことを例にとってみましょう。

夏の甲子園で見られる共感を呼ぶストーリー

大差からの逆転劇で甲子園出場!星稜高校(2014年大会)

第96回全国高校野球選手権石川大会の決勝戦で星稜高校が9回裏に8点差をひっくり返して8-9で小松大谷高校に逆転サヨナラ勝ちをし、2年連続17度目の甲子園出場を決めました。

5回でようやく初安打が出た星稜高校でしたが、8-0で迎えた9回表でプロ注目のエース岩下投手が三者連続三振で流れを変えると、その裏に小松大谷高校のエース山下投手へ猛攻撃が始まりました。

今村選手、村上選手のタイムリーで2点返すと小松大谷高校は投手交代しましたが、攻撃は止まらず岩下選手の場外ホームランで同点まで追い詰めると、最後は2アウト1、3塁で佐竹選手がサヨナラタイムリーを放って試合を決めました。

夏の甲子園名場面!「ハンカチ王子」と「剛腕」(2006年大会)

第88回決勝戦、夏3連覇に向けて順調に勝ち進めた駒大苫小牧高校。その絶対的エースは、現在ヤンキースで活躍中の田中将大投手でした。ですが、甲子園開幕後に体調を崩していた田中投手。先発完投は2回戦と準々決勝のみでした。

1回目の決勝戦では15回を終えても決着が付かず、後日再試合が行われました。

迎えた再試合。駒大苫小牧高校は先発の菊池投手が崩れ、田中投手がマウンドに立ちましたが心身の疲れはピークに達していたそうです。1-4で迎えた9回表、2ランホームランで1点差と迫りましたが、2アウト後打席に入った田中投手が斎藤選手の投げた144キロのストレートを空振り三振し試合終了しました。

それでも「最後は見逃しじゃなく、フルスイングできたのでよかった」と気持ちのいい笑顔を見せ打席を去っていきました。

番外編:熱闘甲子園

熱闘甲子園とは、朝日放送テレビ(ABC放送)とテレビ朝日の共同制作により、テレビ朝日系列で甲子園の期間中に放送される大会のダイジェスト・ドキュメンタリー番組です。

この番組でも球児たちの裏側に迫るストーリーを知ることができます。30分と短い時間ですが感動を受ける内容になっています。

参考 熱闘甲子園朝日放送テレビ

「甲子園を去る球児たち」360度映像では、甲子園で敗れてしまった球児たちの試合後の映像をYouTubeで公開しています。2分と短い映像ではありますが、球児たちのリアルな声が知れ、甲子園にかける思いが伝わる動画になっています。

参考 熱闘甲子園2019年8月17日第2試合星稜vs智弁和歌山「甲子園を去る球児たち」360度特別映像abcasahi

こうした背景があると人はよりその高校を応援したくなる心理が働くと考えられます。ストーリーが感じられることでただ事実を伝えるよりも共感しやすくなります。

ストーリーやドラマを使うことは企業の広告にも活かせます。背景を知ることで、その商品以上の価値を消費者は見出し行動に移りやすくなります。

ここで、ストーリーマーケティングを取り入れている企業をご紹介します。

企業に見られるストーリーマーケティング活用事例

横浜DeNAベイスターズ

選手やチームのストーリーをファンと共有し、より一体となってチームのエンゲージメントを高めます。横浜DeNAベイスターズでは公式YouTubeチャンネルで開幕に向けた動画をあげています。

参考 STARTING OVER.丨2019開幕YOKOHAMA DeNA BAYSTARS CHANNEL

チームの主力となる選手や監督に焦点を当てた動画になっています。過去の経緯を描いて、未来への希望を持たせるようなストーリーになっています。もちろん他の効果もあると思いますが、2014年から動画投稿を始めたベイスターズは年々観客動員数が増加しています!

参照: プロ野球Freak https://baseball-freak.com/audience/baystars.html

東京ディズニーリゾート

CMでも有名な東京ディズニーリゾートです。コンセプトとして、いままでもこれからも子供のころのように無邪気にわくわくする胸の高鳴りや感動を届けていきたいとあります。

実際にこの動画では、過去のパークから現在のパークまでの歴史が描かれています。

参考 【公式】ここは、永遠に完成しない場所。 | 東京ディズニーリゾート/Tokyo Disney Resort東京ディズニーリゾート公式/TokyoDisneyResortOfficial

こうしたストーリーがあるとより、気持ちが高まって消費者は行動に移しやすいと考えられます。

ですが、この施策で実際に効果はあったのでしょうか。

参考 入園者数データ株式会社オリエンタルランド

こちらは2012年から動画投稿を行っています。2012年から入園者数が増加しており、年々増加傾向にあります。

数値をみるといずれの企業も、施策による効果はあったと言えるのではないでしょうか。

共感によって伸びた高校野球の収益

入場者の推移に大きな変化見られませんでしたが、高野連の平成30年2月期の決算報告書によると、入場料による収入は7億1,598万円となっておりそのうち平成29年春の選抜は約2億7,000万円、平成29年夏の甲子園は4億4,000万円の収入で春より約2倍の売上があります。

これに対して野球以外のほとんどの高校スポーツの最大球技イベントであるインターハイ(全国高等学校総合体育大会)を主催する公益財団法人全国高等学校体育連盟の決算書には、入場料の収入がなく事業収益も1億7,471万円に過ぎないことから、収益の面で他のスポーツと大きな差が見られます。

経済効果も2018年は約433億円と言われており、その内訳として入場料、宿泊費、飲食費、球場外でのスポーツ紙や関連グッズなどが挙げられます。

参考 100回目夏の甲子園、経済効果は過去最高の433億円朝日新聞デジタル

また2018年は出場校が7校増加、それに伴い試合数も7試合増え、大会日数も2日増加しました。さらに、これまで無料だった外野席が有料になり内野席やアルプス席も値上げしました。

これは高野連の竹中理事長が「高校の団体競技では初めて3桁を超える。記念大会中の記念大会なので、それにふさわしいように、多くの球児に甲子園の土を踏んでもらいたい」との思いから試合数が増えました。

参考 来夏の甲子園56代表で開催 100回記念大会で出場校史上最多 福岡から2校デイリースポーツ

また、他の高校生のスポーツ大会と比較をしました。比較したのは全国高等学校サッカー選手権大会です。今年で98回目を迎え夏の甲子園と同じくらいの歴史があります。

参考 大会入場者数公益財団法人日本高等学校野球連盟 参考 Video Reseachビデオリサーチ コーポレートサイト 参考 第96回全国高等学校サッカー選手権大会ウィキペディアフリー百科事典

比べると夏の甲子園が多くの人に見られていることが分かります。

これらのことから、収益面から見ても規模から見ても、ストーリーやドラマが他のスポーツ大会よりも多い、高校野球はやはり高い人気だと言えます。

まとめ

高校球児たちの熱い戦いも背景があることでより面白さが増すように感じます。企業もストーリーマーケティングを実施することで成長に成功しており、ストーリーマーケティングは企業の施策に活かせると言えるでしょう