プロ野球ドラフト会議はプロスポーツのTwitter活用の学びが詰まっている ~ セ・リーグ編 ~

ラグビーワールドカップ2019の盛り上がりが日に日に高まっている一方で、2019年10月17日にも大いに盛り上がる事が予想される戦いがあります。それが2019年プロ野球ドラフト会議です。

毎年、リーグにも負けないくらいの様々なドラマを巻き起こしています。去年で言えば、根尾選手や藤原選手、吉田選手などを筆頭にどの球団がどの選手を獲得するのか。チームにとっては、もちろん大事ですが、ファンにとっても気になって仕方のないイベントの一つだと思います。

今年も各種メディアにて放送が予定されています(以下、NPB 日本野球機構より引用)

テレビ = TBS系列全国ネット放送、スカイA
ラジオ = ニッポン放送
インターネット = Paravi BaseballGate SportsBull

上記のメディア以外では、SNSでも各球団の公式アカウント(広島東洋カープを除く)にて情報を発信しています。特にSNSの中でも情報発信がより活発だったTwitterを見てみると、プロスポーツにおけるTwitter活用のポイントが詰まっていると感じた点がありました。

ドラフト会議のあった2018年10月での動きを見ての話となりますが、収集した情報などを基にまとめていきます。

※表では説明の便宜上、パ・リーグも含んでいますが、本記事ではセ・リーグについて触れていきます。パ・リーグについては別記事でまとめさせていただきます!

各球団のTwitterの動き

まず、2018年の各球団公式Twitterの動きを見てみます。

ドラフト関連のツイート数が最も多かったのは千葉ロッテマリーンズ、次点で東北楽天ゴールデンイーグルスとなっています。また、各球団ともに、ドラフト会議のあった2018年10月25日にはフォロワー数が伸びていました。

続いて、ツイートの平均したエンゲージメント(反応)率も見てみましょう。インプレッションや各種細かい数値を見ることが出来ませんでしたので、主だって見ることのできるいいね・RT・リプに絞っています。

反応率:(いいね+RT+リプ)/フォロワー数

平均値なので、多少目立った動きのあるものに引っ張られてしまってはいると思いますが、ドラフト関連のツイートでは、横浜DeNAベイスターズの反応率が高い結果となりました。先ほど、最も多くのツイートをしていた千葉ロッテマリーンズは全体でもやや低めとなっています。

ここまでの状態を踏まえた上で、各球団の主だったツイートの内容や特徴をまとめます。

中日ドラゴンズ

ドラフトまでに事前にツイートをしたりすることはなく、当日にツイートを行うのみでした。しかし、反応としてはかなり高い数値を出しており、反応率としても11球団中、2位となっています。

これは、去年最も話題となっていた根尾選手の交渉権を引き当てたことが大きな要因と言えます。根尾選手に関する動画や画像ツイートをドラフト後にも行っており、どのツイートにも高い反応がついていました。

根尾選手の世間の注目度も高かったことから、フォロワーだけでなく、ライト層からの反応も獲得できたと考えられます。

東京ヤクルトスワローズ

中日ドラゴンズと同様にドラフト前日などの告知のようなツイートは見られませんでした。他の球団とは違い、TVでよく見かけるようなモニターを映すのではなく、以下のようなツイートをしています。

反応率としては千葉ロッテマリーンズと近しい数値となっており、10月中のツイート数も最も少ない結果となっています。

東京ヤクルトスワローズの場合、11月末から12月にかけての新入団発表の時期にドラフト選手に関するツイートを多くしています。ファンの質問募集といった企画などを行い、アプリを交えてファンとの交流を図っているのだと思います。

阪神タイガース

11球団の中で最も多くのフォロワーを有している阪神タイガースですが、反応率としては低めとなっています。事前にドラフトについて触れているツイートはありましたが、ドラフト告知と言うよりはドラフトに向けた公式サイト内で閲覧が出来るコラムの配信予告をしています。

当日はドラフト獲得選手の名前とハッシュタグがテキストで配信されています。結果がまとめて見られるように専用のハッシュタグを使用しているところはファンへの配慮となっているのだと思います。

また、終了直後にはまとめの画像ツイートをしています。これには平均よりも高い反応や反応率が出ており、ファンへの期待感を高揚させているのではないでしょうか。

横浜DeNAベイスターズ

他の球団と比べて、横浜DeNAベイスターズは当日のドラフト前や直後に専用画像や動画含めて多くのツイートを行っています。

また、パブリックビューイングなどの様子も交えて、ツイートで発信をしています。楽しんでいる様子などが度々流れてくるので、ファンの盛り上がりを大きく高めることにつながります。

交渉権を獲得したツイートについてもテキストに公式サイトへのリンクが添えてあり、情報が更新されています。保有するメディア全体でイベントに向けて体制が整っている印象を受けます。

ファンならずともタイムラインで見かけたら、思わず「ん?」と留まってしまうような仕掛けが多くなされています。中日ドラゴンズ同様にドラフト終了後には交渉権を獲得した選手のツイートもあり、高い反応が見られました。

結果としては反応率は11球団中で、最も高い数値となっています。

読売ジャイアンツ

2019年度セ・リーグ優勝を飾った読売ジャイアンツですが、事前のツイートは少し特殊で監督交代の会見で語られているシーンを切り取り、ツイートをしています。ファンにとっては、実際に携わる人が生で意気込みを語ってくれるシーンを見ることが出来るので、喜ばれる施策だったのではないでしょうか。

当日の交渉権獲得のツイートでは獲得が出来た、出来なかったをリアルタイムに発信しています。獲得した選手については、スカウトからの評価と画像をセットにしてツイートしており、一目で選手への期待感と選択した理由が分かるようになっています。

ファンのTwitter内での談議に花を咲かせることができ、UGCの発生をより促すツイートになっているのではないでしょうか。

各球団から見えるTwitter活用のポイント

各球団の内容から、どういった路線でTwitterを使うとファンとの交流や満足度の向上、ライト層との接点増加ができるかを考えてみました。

世間の関心度を意識する

その業界内でのトピックスは業界内、そのファンの関心は高いものだと言えます。ですが、ドラフトはプロ野球業界だけでなく、マスメディアなどでも大きく取り上げられ、世間的にも知名度は高いものだと言えると思います。同様に高校野球も「夏の風物詩」として、野球に興味関心がなくても夏の時期に行うと知っている人は多くいるでしょう(高校野球自体も来場者数が増加しているデータも出ています)

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例えば、「あ、なんか盛り上がってるよね。この選手知ってる。」といった人、ライトもしくはライト層になるかもしれない人と接点を持つには「注目度、知名度が業界外でも高い」要素を発信すると効果的だと考えます。実際に、中日ドラゴンズのように高校野球で抜群の知名度を誇った根尾選手の近況を報告するようなツイートは他のツイートと比べても高い反応を示しています。

さらに、ドラフト前日と当日のフォロワー増加数も11球団の中では2番目に高く、根尾選手と同様に知名度が高かった吉田選手との交渉権を獲得した北海道日本ハムファイターズに次ぐ結果となっています。

そういった業界内というよりは、世間的に見て関心が多少なりとも向けられるトピックス、イベントではツイートの内容を意識することはライト層との接点増加には重要だと言えます。

2019年で言えば、大船渡高校の佐々木朗希選手や星稜高校の奥川恭伸選手は多くのメディアで取り上げられています。交渉権を獲得した球団のSNSの動きにも注目してみたいところです。

盛り上げるツールとして活用

反応率の高かった横浜DeNAベイスターズでは、他球団では見られない動きをTwitter上で多くしていたことは先ほど触れましたが、その動きはファンの盛り上がりに貢献した結果であると言えます。

もちろん、パブリックビューイングなどの特設会場を用意したからこそ出来た施策というのもありますが、その他でも

  • ドラフトに向けて特別な画像や動画を用意する  ⇒ 当日の開始時と終了時の画像/動画
  • ファンの関心が高い部分にコンテンツを配信する ⇒ 交渉権を獲得した選手のツイート

上記のような施策を織り交ぜており、どのツイートを見てもファンの気持ちが高まるようになっています。ファンの気持ちを汲み取った運用を行い、一つ一つは小さいことでもそれが積み重なることで大きな「盛り上がり」を生み出せたのではないでしょうか。

さらに言えば、拡散力のあるTwitterでその盛り上がりを伝え広めていけたからこそ、反応が多く得られたのだと思います。

今まで述べてきたような活用を他のイベントやシーズン中に行っていくことで、Twitterを効果的なファンとの交流に活かすことが可能だと感じます。

これから始まる2019年のドラフト会議、どの選手がどの球団に選ばれるのかが楽しみですが、各球団がどのようにファンと交流を図っていくのか、注目していきたいと思います。