「何をしている人か」「どんな属性か」よりもマーケティングでは「行動や感情の変化」が重要

IT業界、特に広告業界では日進月歩で技術が進歩していて、自分に最適化された情報がいつも表示されています。性別や年齢に合わせたものを見かけることはWebを利用していれば、当たり前の日常になりつつあるのではないでしょうか。

人を細かく見ていくことができるので、どんな人にどんな広告を表示させたいかをより精緻に設定することもできます。精緻にしていけば、届けたい人に届けたい情報を送ることが可能なので、単純に言えば成果(CVR)もよくなります。

一方で、CVRを良くするために人物像を精緻化したはいいものの、セグメントを切り過ぎて母数が少なるといったことも起きているのをよく目にします。

これを解消する方法は一つです。今までのセグメントの切り方を見直し、

「どんな人なのか」「何をしている人なのか」という人物像よりも感情や行動の変化に注目するのです。

セグメント絞りすぎ、ペルソナがちがち故の母数問題

例えば、「仕事ができる男性向けの時計」みたいな商品があったとしましょう。この商品を訴求するためにセグメントを切った広告を出していく場合、以下のようなものを想定するとします。
(もちろん、出稿媒体などにもよりますが、ここでは気にせずとします)

・仕事ができるなので、役職を上位に絞る
・収入を考慮して年齢を少し高めの30~40くらいに設定(年齢には幅が出そうですね)
・時計という要素から職業を推定(おそらく営業さんとかですかね)
・その他では既婚/未婚、世帯年収が価格とマッチする地域など

上記以外にも、設定できるセグメント候補やパターンはあるかとは思いますが、概ねこんなところではないかなと思います。

このように設定すると、仮にペルソナを商品設計の段階などでキッチリ定めていなかったとしても、ある程度簡易ペルソナができるくらいには固まってきます。逆に設計段階からペルソナが決まっていれば、容易にこのセグメントは設定できるでしょう。

さぁ配信だ!となった場合に、ふと対象人数(広告配信母数)を見ると、「おやおや?」といったことが起きます。そうです、人が少ないのです。

そうなると、少し緩くして配信したり、ペルソナってホントにこんなだっけ?配信したい人ってこれだっけ?もしかして違う?など、問題でないものも問題のように見えてきたり、広告施策が一からやり直しといった光景もよく目にします(実際、お仕事をさせて頂いていたクライアント様でも見られる現象でした)

これはあまりにも「人の属性」を見過ぎている、気にし過ぎているから起きます。元々のセグメントを設定する前の数にもよりますが、3~4つくらい条件を掛けるといよいよこの現象が見えてくると思います。

このまま実行すれば、もちろん高いCVRは出るでしょう。しかし、対象数が少なければそれだけCV数は少なくなる可能性が高いです。

そこで、母数問題を解決するために「感情や行動の変化」に注目するのです。

どんな人でも起き得る感情、どんな人でも起こし得る行動

なぜ、感情や行動の変化に注目するかというと、「人の属性問わず、誰にでも起き得る可能性がある」からです。

役職や年齢といったものもセグメントの一つとして重要ではありますので、それを否定はしません。ただ、それだけを見て条件を絞ってしまうと、役職であれば就ける人間は限られていますし、年齢であっても他の層を切ってしまうので大きく対象者は減っていきます。

さらに言えば、セグメント外にいる本来はリーチすれば購入につながるかもしれなかった人を逃してしまう可能性もあるのです。

逆に大きく取り過ぎれば、表示だけはされるけど反応されず、低いCVRになってしまったり、CPAだけが高騰する、広告費をかけた割にリターンが少ないといった事態も起き得るかもしれません。

そこで大事になってくるのが、「感情や行動の変化」 です。

先の例の「仕事ができる男性向けの時計」を感情や行動の変化に注目したパターンで対象を考えてみます(分かりやすくするために少し偏った内容にしています)

・役職をもらい、身だしなみを気にし出す人(行動の変化)
 ⇒上位だけでなく、役職を初めてもらった人も対象となる

・「仕事ができること」に憧れを抱く人(仕事に対しての感情の変化)
 ⇒30~40代だけでなく、20代前半からも対象となる

「仕事ができる」は現時点で満たしている人は対象ですが、昇級したてや上司に憧れを抱き、これからそれを志す人もいるでしょう。 単純に役職や年齢だけではセグメントを切られてしまう人も、この考え方であれば情報を届けたい人のリーチが広がります。

また、買わない可能性の高い人を無理に対象者としているわけではなく、購入の可能性がある潜在層を対象としているため、CVRが著しく落ちるといったことも防ぐことにつながります。

もちろん、このタイプにはこのクリエイティブでといった出し分けをして、出す媒体もしっかり選択するなど、適切な訴求を行う必要はありますが、それは人の属性に注目した場合も同じこと。あくまで、対象者を無駄に広げるわけではなく、確度の高い対象者を見つけることを意図しています。

感情や行動の変化の場合はセグメントの設定だけでなく、クリエイティブでの訴求の仕方もかなり重要になってくるので、合わせて考えておきたい部分です。同じでも情報でも、感情に働きかける方がよりパーソナルに近い訴求となり、受け取られ方は良く、ユーザーの態度変容を促しやすくなります。

まとめ

こういった要因があるからこそ、その人が「どんな役職」「何をしている」よりも「行動や感情の変化」が重要なのです。そこをないがしろにしては、人やファンに寄り添ったマーケティングをしていくことはできないのはないでしょうか。