店舗数はユニクロ越え!ワークマンをマーケティングトレース

今年も残り1カ月を切った中、「2019年ヒット商品ランキング」が発表されました。2018年10月~2019年9月の間に発売された商品・サービスを対象にそれぞれ、売れ行き/新規性/影響力の評価項目から選出されました。

参考 2019年ヒット商品ランキング 日経トレンディが選んだベスト30日経XTREND

今年の1位と言えばタピオカかキャッシュバックキャンペーンで話題になったスマホ決済サービスのPayPayかと思う方も多かったと思います。そんな中1位に輝いたのは、作業服・作業用品専門店のワークマンでした。

※Googleトレンドより

Googleトレンドでも、2018年10月から上昇傾向にあり今年の11月には急激に検索されています。

ワークマンって?

ワークマンは主に、工事の現場作業や工場作業向けの作業服・関連商品の専門店として、 日本最大手とも呼ばれる企業で、店舗数は2019年9月末で、全国に846店舗でアパレル大手の「ユニクロ」を超えています( ※ユニクロ/2019年8月時点: 817店舗)

商品の値段は低価格で、「作業服のユニクロ」とも呼ばれています。業績も好調で、8月の既存店売上高は前年同月比55%増と爆発的に伸びており、客数は34%、客単価は15%上昇しました。

小売業界では 売上高営業利益率の平均が2.1%という中で、ワークマンでは8%と高い数値となっています。

そんな好調のワケには2017年に新業態として展開した「WORKMAN Plus」の存在がありました。

新規事業!WORKMAN Plus

WORKMAN Plusはアウトドア・スポーツ・レインウェアの専門店です。

従来は「働くプロの過酷な使用環境に耐える品質と高機能をもつ製品を、値札を見ないでお買い上げいただける安心の低価格で届けたい 」というポリシーをかがげて商品を作ってきましたが、今度は一般に人々にフォーカスした商品展開を始めました。

ワークマンは40年にわたり、作業服の個人向け市場に重きを置いてきたので、強いオペレーション力が強みではありますが、作業服個人向け市場は1000店舗が限界。さらにはAmazonや他の小売店が勢いをつけており、新たな戦略を練るにはベストなタイミングでした。

そこでワークマンが行ったのは客層の拡大です。ワークマンが40年積み重ねた技術を一般のお客さんにも展開を行うことで、競合との差をつけました。

ところが、スポーツアウトドアはブランドが独占状態しており、参入は難しいと言われました。では、どのような戦略で市場を開拓したのでしょうか。

ワークマンの戦略・施策

では、ワークマンがスポーツアウトドア市場開拓に行った戦略をみていきましょう。

STP分析

ワークマンが作り上げてきた、プロに見認められる過酷な現場でいかせる商品知識を一般の人たちにも感じてもらう。これをうけてワークマンが狙ったポジションは高機能×低価格です。

従来のスポーツアウトドアブランドは、高価格で機能性やデザイン性が魅力的なブランドが多数ありましたが、その中でワークマンでは、高機能で低価格の市場を見いだしました。加えて競合があまり見られないことから、この市場で施策を練っていきました。

4P分析

上記をうけて、4P分析を行いました。

流通では、マスコミに取り上げられやすくするため、ストーリー戦略を用いました。ららぽーと甲子園店に出店を試みた際には、 「巨大メーカーvs弱小メーカー」のような構図を利用。 有名アパレルブランドが多数出店されている中、オープン初日でWORKMAN plusの初日売上記録を更新し、入場制限がされるほどの賑わいをみせました。

実際にテレビにも特集されたことも影響し、話題となりました。

参考 ガイアの夜明けTV TOKYO

ホームページ上では、作業着のイメージが強く一般のお客さんが「近寄りがたい」と感じるのを懸念し、一時は作業着をワークウェアと表記していましたが、職人が購入しているというのはプラスイメージになると指摘をうけ元の表記に戻しました。

職人が買っている=品質が良く耐久性があるといったイメージからプラスにつながると考えられます。

広告の面ではInstagramで今までのイメージとは真逆の世界観を演出しています。

WORKMAN/ワークマンプラス 【公式】(@workman_plus)

日常使いできる商品をピックアップし、コーディネートの提案を行っています。インフルエンサーを50名ほどをアンバサダーにして製品開発に協力してもらうなど、若者に向けた取り組みも行っており「おしゃれで機能的!」とTwitterやInstagramでは#ワークマン女子とつけて投稿されています。

また少し変わったアプローチも行っています。過酷ファッションショーといい、ワークマンの商品を身に着けた状態で、雨や霧、雪などのシチュエーションの中でファッションショーを行うといった企画で話題になりました。前列の人には雨具が配布されるくらいの過酷さで開催されました。

参考 9月5日に開催された「ワークマン 過酷ファッションショー」が想像以上にヤバかった。2019年秋冬アイテムを発表!webオートバイ

こうしたアプローチの結果、ワークマンは2019年のヒット商品ベスト30の1位になったのではないでしょうか。ヒットの要因をまとめると

  • 市場の穴場を発見(高機能×低価格)
  • ターゲットに向けたSNSの雰囲気作り(※Instagram)

ワークマンが40年プロに向けて展開してきた商品知識を一般の人々にも広めることで顧客の拡大につながりました。職人に選ばれ続け、こうして一般の方にも広まったということはそれだけ、商品の質は高いものだったと言えるでしょう。

スポーツアウトドアという市場も見てみると、アウトドアというだけあってやはり高機能の商品が重宝されます。ですがスポーツアウトドアブランドは、どこも値段も張ります。その中で、低価格というのが大きなポイントだと考えられます。

また、Instagramをみると女性には普段のファッションに取り入れてもおかしくない品ぞろえで、スポーツアウトドアだけではなくカジュアルで日常使いできるといった路線にもうけていたのではないでしょうか。

アウトドアといった専門性の高い方向性だけでなく、誰でも使える商品を展開したのがターゲットに刺さったと言えるでしょう。

では、この結果を受けて今後展開を考えました。

今後の展望

日常使いできるアパレル商品の開発

日常使いできて、高機能な商品が売れました。さらには、おしゃれで機能的との声もありました。これを受けて暖かいルームウェアおしゃれで機能的なマフラーなどの開発を行い、Instagramでアプローチを行います。また手袋では暖かくてスマホに対応した商品を開発すれば今回のようにクチコミで話題になると思います。

Instagramでの雰囲気をいかした商品開発も効果的と言えるのではないでしょうか。

YouTubeの活性化

TwitterやInstagramでは投稿が頻繁に行われていますが、YouTubeはチャンネル自体は存在するものの、投稿はここ数年行われていません。

先程紹介した、過酷ファッションショーのような他では見られない様子は画像よりも動画の方がよりユーザーに商品の魅力を伝えられると思います。

ワークマンの商品の特徴の1つでものある高機能を、実験を行っている様子を動画で配信し、その耐久性を理解してもらいます。また、YouTubeは若者に人気のあるSNSなので見てもらう機会が多いと思います。

まとめ

今年の目玉とも思われたタピオカPayPayを抑えて1位となったワークマン。

※Googleトレンドより

Googleトレンドで3つを比較しても、両者にあまり引けを取らない推移が見受けられます。マスコミが多く取り上げて広める知名度よりも、ユーザーの口コミによって徐々に広まり、ヒット商品となったと考えられます。

参考 みんなが報告する「ワークマンの有能すぎる商品」がめちゃ役に立つ!NAVER まとめ

また、女性に向けた商品展開も豊富で、実際に女性向け衣料品の売上が2019年の4月~6月期で前年同期比で2倍に増えています。

今後、ワークマンがどのようなターゲットを獲得しにいくのか楽しみです。