日本で応援広告をやるなら、ファンだけでなく運営も協力するべき理由。

先日、韓国の人気オーディション番組「PRODUCE 101」の日本版「PRODUCE 101 JAPAN」の最終回が放送されました。この番組は101人の候補生の中からデビューできるのは11人のみというサバイバルなスタイルで、選出方法は国民による投票というスタイルで話題を呼びました。それと同時期にTwitterのトレンドに応援広告というワードが入りました。

参考 2019年12月11日のトレンドワードTrend Calendar

トレンド入りのきっかけとなったツイートがこちらです。一般的な広告に見えますが、今までの広告とは違った手法がとられています。

この広告自体は11月頃から掲載されており、渋谷や新宿などの都心の大きな駅構内に多く見られました。これは多数のタレントの写真を使用した応援広告といい、テレビ局や芸能事務所ではなく、一般のファンが出稿した広告です。掲載する駅や枠、期間によって変動しますが、ある広告代理店では小さな枠で約10万円で掲載できます。

かつての日本では考えられませんでしたが、今じわじわと進出しています。発端はPRODUCE 101 JAPANというオーディション番組です。

冒頭にも書きましたが、PRODUCE 101 JAPANでは、ファンが自分の好きなアイドル候補生をデビューさせるために投票を行います。ですが、投票できる回数は1人1票まで。そこで多くの人に自分の好きなアイドル候補生を知ってもらいファンになってもらうために、この応援広告が出されました。

元のオーディション番組も韓国が発祥で、 応援広告は既に韓国で文化として定着しています。主に日本のK-POPファン主導で動きはじめました。日本ではまだ珍しいですが、海外ではさまざな場所に広告が出されています。そんな海外の応援広告の事例をまとめてみました。

海外の応援広告

ラッピングバス

応援広告の発祥の地ともされる韓国では地下鉄広告のほかにラッピングバスにも進出しています。今回の日本での応援広告はデビューを賭けたもので多くの人に、投票を促す趣旨がありました。

韓国では、既にデビューしているアイドルの誕生日やデビュー日にも広告を介して、広く知らせようとします。

ラッピングバスでは、バス全体に広告を貼り付けることができるので費用対比効果が高くインパクトを与えることができます。

また、サイズなどで費用は変動しますが、依頼者はバスを走らせる路線を自由に決めることも可能です。

参考 韓国ラッピングバスと地下鉄広告の費用!アイドルの誕生日サポートとは?キムチチゲはトマト味

カフェ

最近の韓国のトレンドのスタイルで、名前の通りカフェの店内や入口にアイドルのポスターを掲載する広告です。またアイドルの写真を使ったカップスリーブでコーヒーを彩ったりと普通のカフェがアイドル一色に染められます。

カフェ自体は通常営業のため、一般のお客さんの入店しますが、アイドル関連のイベントが開催される際はファンが集い、語りあう場として盛り上がります。

参考 月80万も!K–POPファンによる「自腹」交通広告の不思議FRIDAY DIGITAL

タイムズスクエア

韓国だけでは留まらず、なんとニューヨークの観光名所タイムズスクエアにも応援広告の掲示が行われています。看板の大きさや種類、位置などによって変動しますが、1カ月で約3300万~4400万円かかります。

また、韓国のアイドルだけでなく、日本のアイドルも広告に掲載されていました。

海外では既に受け入れられていると言えるでしょう。ではなぜこれほどまで日本での応援広告が話題になったのでしょうか。

話題となった背景

今回、話題となった背景にはPRODUCE 101 JAPANの運営事務局の対応にあります。応援用素材としてアイドル練習生の写真を配布しました。番組の公式ホームページには簡単な注意事項だけ述べられており、基本的にはファンに任せる方針となっています。

「屋外広告、デジタルサイネージ広告等、公共の場所において、費用の発生する方法で応援を実施する際には、運営事務局まであらかじめ概要をメールにてご共有ください」

引用: https://produce101.jp/news/?id=36

韓国では、著作権などが問題視されていますが、アイドルの宣伝になり費用も掛からないので黙認されています。ですが日本では応援広告の事例がないため、多くの広告代理店に断られてしまったそうです。

請け負った広告代理店も最初は戸惑っていたそうですが、K-POPカルチャーに詳しい社員からの説得で今回の掲示に乗り出したそう。その後はクチコミで広まり、問い合わせが殺到。鉄道会社と協力して広告枠が解放されるなど今までに見られない動きがありました。

ファンの人も利用できる素材写真がなければ、今回のような活動は行わなかったと述べており、広告が加速したのは、運営の写真の配布が大きかったと言えるでしょう。

韓国では文化として根付いていますが、日本では今回のように記事になって取り上げられるほどの規模です。ですが、過去にも日本で応援広告の事例がありました。

日本で行われた応援広告

2016年朝日新聞に「SMAP大応援プロジェクト」が掲載されました。A-portというクラウドファンディングサービスを通じて支援を募り、1週間で13,103人から39,925,936円 の支援がありました。

12月30日に朝日新聞朝刊で8ページにわたる広告が掲載されました。写真は掲載できないものの応援のメッセージが込められた広告は話題を呼び、2016年の日本新聞協会主催の新聞広告賞・広告主部門で優秀賞に選出されました。企業でも団体でもない一般人が受賞するのは異例だったそう。

参考 「SMAP大応援プロジェクト」、新聞広告賞の広告主部門で優秀賞A-port OFFICIAL COLUMN

ですが、広告でありながら写真を使用できないというのは、かなりの痛手です。SMAPの事例では、写真を使用せずに話題となりましたが、応援広告でこのスタイルを定着させるのは難しいかと思います。実際にSMAPの事例以降は(※今回を省いて)大きく目立った応援広告は見られませんでした。ではなぜ、ファン主体の広告であるはずの応援広告に運営が積極的になるべきなのでしょうか。

運営が応援広告に積極的になるべき理由

SMAPの事例にもありますが、日本では肖像権の管理が厳しい芸能事務所が大半です。その中でPRODUCE 101 JAPANでは宣伝写真の配布を行ったという行為はファンにとっても広告業界にとっても革新的だったと言えるでしょう。写真の配布さえあれば、ファン主体で宣伝が行われることによって、今回のようにメディアでも多く取り上げられ話題を呼びました。

芸能事務所が応援広告に積極的になれば、認知度も上がり、事務所にとってもファンが自主的に宣伝を行ってくれるので非常に効果的と言えるでしょう。

また、ファンも自身が制作に携わった広告が掲載されることは、アイドルに「喜んで欲しい」というファンの心理や広告の数がアイドルの人気を示す数値になっていて、ファンとしてもより多くの広告を出したいと考えられます。

まとめ

海外では既に浸透している応援広告。今回の事例で、肖像権の心配さえなければ、広告代理店も乗り出してくれる証明となりました。現にこうして話題となり、担当した広告代理店にも問い合せが殺到しました。

この事例で応援広告が日本に文化として定着していくのではないかと考えられます。今後、SHIBUYA109 などの名所やインターネット広告にも掲載されるのではないかと思いました。