イベントから見るセレッソ大阪のマーケティング分析

2020年に東京オリンピックを控え、スポーツ観戦に日本中の注目が集まっています。中でもサッカーは日本代表戦が行われるとメディアに多く取り上げられます。サッカーに関して言えば近年の人気やデジタル化の勢いは目を見張るものがあり、様々な動きが見られます。

その中でもJリーグのセレッソ大阪では違った取り組みをしており、メディアでも多く取り上げられています。そこで今回はセレッソ大阪が行っている取り組みを中心にマーケティング分析を行ってみました。

セレッソ大阪について

セレッソ大阪は大阪市と堺市をホームタウンとしているサッカークラブです。セレッソはスペイン語で「桜」を意味し、桜は大阪の市花でもあり、日本を代表する花でもあります。それに因んでセレッソ大阪の選手たちは「桜の戦士」とも呼ばれています。

セレッソ大阪はJリーグでは珍しく、ホームスタジアムを2つ隣合わせた場所に所有しています。1つがヤンマースタジアム長居(収容人数:47,000人)、もう1つはキンチョウスタジアム(収容人数19,628人)です。

※キンチョウスタジアムは、現在改修工事を行っており、約30,000人収容可能で2021年の3月に完成予定です。

セレッソ大阪が行っている取り組み

簡単にセレッソ大阪について触れたところで、早速どんな取り組みをしているのかをイベントを中心にいくつか見ていきましょう。

▼ 「今年もやるで!水着で来たら入場無料!」 ※2018/8/25開催

「セレフェスデー」と題し、 特設ブースに水着で来場した方(先着500名)に当日観戦チケットをプレゼントしただけでなく、セレフェス限定の選手パネル設置、セレフェス限定ポスターガチャ販売などの施策を合わせて行いました。

▼「セレキュンデー(レディースデー)」 ※2018/9/30開催

2017年、2018年に難波マルイに期間限定でOPENした「マルセレ」で実施され、大反響だったイベントをホームスタジアムで開催しました。セレッソ大阪推しメン総選挙やSNSフォトスポットなど多くの施策 が行われました。またこの企画の提案にサポーターを募集して案出しの会議を行い、参考にしたようです。

参考 どこもやっていない企画を一番に!独自性溢れるC大阪のマーケティング戦略スポーツナビ

Jリーグ初の試みであったり、サポーター参加型の企画など、一歩二歩進んだ施策を行っていることが分かります。

セレッソ大阪の集客

続いて、集客について見てみます。

2014年に入場者数が大きく伸びています。これは2013年に東アジアカップが開催され、大会の得点王と最優秀選手にセレッソ大阪の選手が選ばれるなど選手が脚光を浴び、これをきっかけにセレッソ大阪に注目が集まりました。同時期に「セレ女」ブームが発生したと考えられます。今でもよく聞く当時の「カープ女子」の流行も「セレ女」を後押ししたと考えられます。

参考 セレッソ大阪の女性ファン「セレ女」が増え続けている理由週プレNEWS

次に、このブームを踏まえてイベントと入場者数の推移を合わせてみます。

セレ女ブームが起こった2014年度はイベント数が少ないですが、ブームの影響もあり入場者は多く、2015年からはイベント数に増加の傾向が見られます。2016年はイベント数が少なく、入場者数も女性観戦者の割合も減っていますが、2017年にはイベント数が前年の1.6倍となり入場者数・女性観戦者の割合は共に増加しています。

セレ女ブームによって注目を浴びた2014年以後、イベントを数多く行うことで集客の増加を図っているように見受けられます。また、女性観戦者の割合を見るとイベントも女性向けた内容が多かったため、セレッソ大阪の女性ファンが多いイメージの定着、ブランディングができていたのではないでしょうか。

2018年度は前年度と比較すると、入場者数が減少しています。今後、伸ばす方法や戦略はどういったものがいいのかを独自に考えてみました。

マクロ環境分析(PEST分析)

まずは外部環境を整理します。

PEST分析

2020年東京オリンピック開催やラグビーW杯による訪日客の増加、G20の開催による海外からの注目の高まりなど、今後、国際的なイベントが多く控えています。また、従来のスポーツ観戦の主要な層であった男性に加えて、女性のスポーツ観戦への興味関心が高まっています。 観戦する環境が時代と共に変化しており、デジタル化の影響も受け、観戦形態の変化も見受けられます。

内部分析(SWOT分析)

そして内部分析です。

SWOT分析

ヤンマーを中心とした東南アジアに強いスポンサーがいることが大きな特徴と言えます。ヤンマーでは、未来の明るい子供たちに向けた「Make a Smileプロジェクト」presented by YANMAR を東南アジアなどで開催しています。ヤンマーはセレッソ以外にも「BGパトゥムユナイテッド」やベトナム代表のナショナルチームなどとも契約を結んでおり、サッカー業界に力を入れている企業の1つと言えます。また、Facebookのフォロワー数が多く、海外と繋がりの強いスポンサーもついていることから、グローバルな要素を多分に含んでいると言えそうです。なお、サッカースタジアムの完成も控えており、こちらについては独自の機会となっています。

私たちが考える戦略

ここまでの分析を踏まえた結果、以下のような施策や戦略が取れると考えられます。

①ファミリー層の集客に力を入れる

2017年~2018年の入場者数は減っていますが、女性の観戦者の割合は変化していません。イベント数にも差異がないことを考えると女性だけでなく、他の層へのアプローチも考慮する必要があります。

今、力を入れているイベントから若い女性には十分アピールできていると考えています。一方で、前述した水着イベントではファミリーの参加が多い結果もありました。そこで私たちはファミリーで、特に小学生のお子さんを持つ層に注目しました。

セレッソ大阪は2019年から大阪市立図書館とタッグを組み、「読書推進プロジェクト」を行っています。内容は読書感想文を書けるスペースの他に 読んだ日や本のタイトル、読んだ本の感想を記入できるほか、セレッソ大阪の選手などの「おすすめの1冊」等が紹介されています。 読書感想文を図書館やスタジアムに設置するほか、ホームゲームでセレッソ大阪の選手や大阪の著名人、企業代表者によるおすすめの1冊が掲載されています。

例えば、選手に気軽に会える機会をフィールド以外で作り、子供と接点を多く持つ事で、余暇を過ごす際の選択肢の1つに入るようにしていくのです。USJに行くのか、セレッソ大阪の選手に会いに行くのかという選択肢を作るということです。

お子さんが中心となるファミリー層では、子供に興味を持ってもらえれば家族と共に来場するので多くの集客が見込めると言えます。

参考 大阪市立図書館×セレッソ大阪「読書推進プロジェクト-本を読んで、人生を豊かに -」を実施します!大阪市立図書館

②東南アジアのファンを獲得

セレッソ大阪には、ヤンマーなど東南アジアに強い企業がトップパートナーにいる為、
エキシビションマッチなどを組み東南アジア諸国にセレッソ大阪を知ってもらうきっかけ作りを行います。今後、オリンピックや大阪で試合が行われるラグビーW杯など、海外の方が日本を訪れる機会が増えるため、その機に合わせて東南アジアの方に向けた施策を講じます。大阪では既に、数カ国の表記を作成や外国語を話せるスタッフの増員などを行っており、インフラの整備なども進んでいます。 東南アジアでのJリーグ人気の高まりも追い風になるでしょう。

③主要SNSの活用

セレッソ大阪のFacebook、Twitter、Instagramのフォロワー数を見ると、運用の力の入れ具合もあるかと思いますが、Facebookのフォロワー数はJリーグで1番多く、TwitterやInstagramは他のクラブと同程度となっています。最近のInstagramの利用者増加やTwitterの拡散力などを活かせればユーザーとのコミュニケーションも活発になり、より濃いファンになってもらうことも可能です。

(※2019年2月時点)

投稿分析を行いエンゲージメントが上がれば、それだけユーザーにとって魅力的な投稿ができていることになり、フォロワー獲得にも繋がると言えます。

まとめ

今回、「セレッソ大阪の取り組み」を起点に分析を実施しました。イベントからファンの満足度や集客に繋げており、今後も様々な仕掛けをしていくのだと感じました。USJに負けないイベントの発想やマーケティング手法は、他の企業様でも活用できる部分はあると思います。イベント企画の参考にしてみるといいでしょう。